ご存じですか?今年いっぱいで既認定者の経過措置が終了します
難病法が施行されてから、既認定者(平成26年12月31日において特定疾患治療研究事業の受給者証を交付されていた人)は、3年間の経過措置の対象となっています。
例えば、所得状況によりますが新規受給者よりも自己負担が軽減されたり、症状の程度の変化に関わらず受給者証が継続して交付されています。
この措置が平成29年12月31日で3年を経過し終了となってしまうことから、現在認定されている皆さんから、患者の負担が大きくなるのでは?など不安の声が多く上がっています。
経過措置が終了することに伴って、①今後どのような取り扱いになるのか、また②経過措置終了までに心がけたい準備等について解説いたします。
●経過措置終了で
現在の既認定者は、平成30年1月1日からは新規認定者同様の扱いとなり、各都道府県の窓口で平成29年の秋以降に受給者証の交付手続きをすることになります。
その時点の重症度分類で「軽症」の患者は、助成の対象外となってしまうことになります。秋田県難病連も加盟しているJPA日本難病・疾病団体協議会は2月24日、厚生労働大臣宛に「難病法における軽症患者登録制度の実現及び経過措置の延期についての要望」を提出しています。
懸念されるのは、負担が増えることにより経済的な理由で、専門医療を受け続けることができなくなる患者が増えることです。現在、専門医療を受けているからこそ症状が抑えられ「軽症」となっている患者が多いのではないでしょうか。病院に行きたくても行けなくなる患者が多くなり、症状を悪化させてしまうケースが増えるとすれば、これは大きな問題です。
また、軽症の患者が助成制度から外れると、行政での把握が出来ず、療養・生活・就労支援などの情報が患者に届きにくくなり、必要な支援が受けられない恐れも出てくることが予想され
ます。難病法は施行されたけれども、難病対策からこぼれ落ちてしまう患者が、来年から一気に増えてしまう状況に大きな不安を感じざるを得ません。
難病連としては経過措置終了に伴って、県内でどのくらいの方々が対象から外れてしまうのか、またそれに伴い経済的な負担がどのくらい増えるのかなどについて実態を把握していく必要があります。そして、他の患者団体と連携しながら国への要望活動を展開していくことが難病連に求められていると考えます。
●経過措置終了までに心がけたい準備について
それでは、経過措置終了までに心がけたいこと、つまり今の段階で必要な準備について解説します。自己負担が高額な患者については特例があり、それに該当する方は経過措置終了後も医
療費の助成が受けられるのです。
【経過措置終了後の特例について】
認定基準に該当しない場合でも、自己負担が高額な場合については、次のような特例があります。
【特例1:軽症高額該当】
特例医療費の支給認定の要件である重症度分類を満たさないものの、基準以上の高額な医療費を支払っている場合は医療費助成の対象となります。
それは・・・「月ごとの医療費総額が33,330円を超える月が年間3回以上ある場合です。例えば、医療保険の3割負担の場合、医療費の自己負担が1万円以上の月が年間3回以上ある患者が対象となる、ということです。今年秋の更新申請時に同時申請できます。
【特例2:高額かつ長期】
特定医療費の受給者のうち、所得の階層区分について一般所得Ⅰ(課税世帯)以上の方が、月ごとの医療費総額が5万円を超える月が年間6回以上ある場合、月額の医療費の自己負担が軽減されるそうです。例えば、医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円を超える月が年間6回以上ある患者が対象になる、ということです。
これは、過去12ヶ月で総医療費が5万円を超える月が6回に達した時点ですぐに申請すれば、翌月から助成が開始されます。
Q:軽症高額該当かどうかの証明はどのようにすればよいでしょうか?
A:指定医療機関や薬局で、毎月の負担上限額を管理している「特定医療費(指定難病)自己負担上限額管理表」に負担上限額に達して以降もかかった医療費総額を記入してもらうことで証明になります。
平成30年1月からの切り替えに備えて、今から自己負担上限額管理票には、負担上限に達して以降も欠かさずに指定医療機関(薬局などを含む)にかかるたびに医療費総額を記載してもらうように心がけましょう。念のため、明細書は毎回出してもらい記録を残しましょう。
Q:自己負担上限額管理票に書ける項目は?
A: この管理票に書ける項目は、病院・薬局だけではありません。訪問介護、訪問リハビリ、介護予防、介護療養施設サービス等も特定医療費の対象となります。
1年間の医療費等が対象になりますので、今年の1月にさかのぼって整理してみる必要があります。
Q:医療費助成から外れ、上限額管理票がない場合は証明できないのでしょうか?
A:その場合には、医療費申告書を、かかった医療機関で発行される領収書など(診療明細書などで指定難病にかかわる医療費が明示辞されていることが必要)をとっておく必要があります。そして、それを添付して提出することができます。
これらの申請は全て自己申告です。不明な点については、一人で悩まず保健所の担当に早めに相談するようにしましょう。